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リースバイリース方式とは
投資家は、不動産の投資判断に際しまず何を重視するでしょうか?「合計としての」賃料収入や「割合としての」空室率でしょうか?いえ、違います。入居テナントの契約期間・内容や賃料水準、契約満了時の更新確率などといった、個々のテナントの動態のはずです。
一方、不動産の収支は、元来、こうした個々のテナント動態を積み重ねて形成されるもので、単純式「可能賃料収入×(1-空室等損失)」「可能賃料収入×入居率」で形成されるものではありません。
アセットマネジメントツール「アーガス(ARGUS)」が計算のベースとしているリースバイリース方式は、こうした個々のテナントの動態に着目して、それを計算過程に組み込む方法です。この方式は、投資家の目線に立ち、不動産の収支特性に即した、精度の高い優れた方法です。具体的な計算の仕組みを概括すると以下のようになります。
・契約期間、満了時点の更新確率、退去時の空室期間、新規入居時の賃料、更新時の
賃料改定…といったひとつひとつのテナント動態を細かく積み上げる方式です。
・賃料収入や空室損失は、こうしたテナント積み上げの合計として、詳細に計算されます。 |


リースバイリース方式の基本的な考え方の概説
以下、現在入居中の「A」というテナントを例に、その動態をベースとして、リースバイリース方式の基本的な考え方を概説します。
◇テナント「A」の概要
・今から一年半後に契約更新時期を迎える。
・更新される確率は70%(退去して入替となる確率は30%)。
・入替が起きる場合、次の入居が発生するまでの空室期間は3ヶ月。
・賃貸面積 1,000坪
・現行の月額賃料は12,000円/坪
・一方、マーケット賃料は現行賃料よりも低い水準の月額10,000円/坪
◇収入の考え方
・1年目
現行契約のまま推移(入居が継続)
12,000円/坪 ×12ヶ月×1,000坪=144百万円
・2年目(1~6ヶ月目)
現行契約のまま推移(入居が継続)
12,000円/坪 ×6ヶ月×1,000坪 =72百万円
・2年目(7ヶ月目以降)
「更新」と「入替」、2つのシナリオを考える必要あり … 確率により加重平均
70%×12,000円×6ヶ月×1,000㎡ ←契約更新シナリオ(入居継続)
+
30%×10,000円×(6-3)ヶ月 ×1,000㎡※ ←入替シナリオ
(空室期間3ヶ月後に、マーケット賃料で入居)
= 70%× 72百万円 + 30%× 30百万円
= 50.4百万円 + 9百万円 =59.4百万円
→2年目計 72百万円 +59.4百万円 = 131.4百万円
もし、空室期間が発生しない(空室期間0ヶ月)とすると、※部分は
30%×10,000円×(6-0)ヶ月 × 1,000㎡ =18百万円 となるので、
2年目7ヶ月目以降の収入は、
50.4百万円 + 18百万円 = 68.4百万円
2年目全体(一年間)の収入は、
72百万円 + 68.4百万円 = 140.4百万円 となる。
獲得可能な収入 140.4百万円 に対し、 実際の収入は 131.4百万円
140.4百万円 - 131.4百万円 = 9百万円 が2年目の「空室等損失」に相当する。
◇まとめ
可能賃料収入:1年目 144百万円 2年目 140.4百万円
空室等損失 :1年目 0円 2年目 9百万円
賃料収入 :1年目 144百万円 2年目 131.4百万円
2年目に関して 100% - (131.4百万円 ÷ 140.4百万円) ≒ 6.4%
従来の鑑定評価では、可能賃料収入を物件全体で合計した額に対して、「空室率」に相当する率を一括で乗じることで「空室等損失」の額を出していた。
リースバイリース方式では、「空室率」に相当する率は、個別のテナントの積み上げののち、「事後的に」求められる。
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